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黒木茜さんインタビュー後編「欧州から見えた日本の乗馬」

前回に引き続き神戸乗馬乗馬倶楽部の正会員、特別指導員である黒木茜さんのインタビューをご紹介します。
20歳で乗馬を始めて日本代表に選ばれた黒木さん。2012年から日本と欧州を往復し続ける黒木さんだから見えた『日本の乗馬』を語っていただきました。

引用:黒木茜オフィシャルサイト https://akanekuroki.com/profile/index.html

黒木茜さんプロフィール
1978年8月13日生まれ。兵庫県出身。ドレッサージュ(馬場馬術)選手。
20歳で馬術をはじめ、程なく国内大会に出場。2012年、全日本馬場馬術大会セントジョージ賞典馬場馬術・決勝において5位入賞を果たしたのを機に来欧。
2015年、リオデジャネイロ五輪グループ予選で日本代表に初めて選ばれ、日本の団体出場権獲得に貢献。
2016年、リオ五輪に出場され、2018年のアジア大会では団体で金メダルを獲得。

日本と欧州の乗馬文化のちがいとは?

―まず、欧州と日本の乗馬文化の大きな違いは何なんでしょうか?
黒木さん「実は日本でよくある会員制の乗馬クラブというのは欧州では少なく、もちろん会員馬(※1)というのもほとんどいません。ドイツだと自宅の庭に馬がいるのが普通のことなので、馬との関係そのものが違いますね」

―社会における乗馬文化のイメージや立ち位置自体が違うわけですね?
黒木さん「ええ、競走馬文化である日本の乗馬クラブには、引退した競走馬の受け皿という役割もあります。なので、日本の乗馬文化が欧州と同じようになることはないし、そうなる必要もないと思います。ただ、単純にスポーツということではなく、『人と馬の繋がり』としての乗馬の価値はもっと日本でも浸透してほしいという想いはありますね」

これからの日本の乗馬文化は?

―黒木さんは、日本の乗馬が社会にとってどのようなものになっていってほしいと思われますか?

黒木さん「日本の乗馬はどうしてもスポーツや習い事のイメージが強いですが、情操教育やヒーリング効果ももっと注目されてほしいなと思います」

―たしかに、日本において乗馬はスポーツのイメージが非常に強いように思われます

黒木さん「日本は競走馬文化なので、どうしてもそうなりがちなのですが、ドイツでは自宅の庭で馬を飼って、子どもの頃から情操教育として乗馬をするというのは珍しくありません。
また、ヒーリング効果としても、人間が馬に乗ったり、触れ合ったり、お世話したり、掃除をしてあげたりすることで、心が癒されていくというホースセラピーは今、いろんな研究がされていますが、神戸乗馬倶楽部では非常に力を入れていて、多くの方が参加してくれています」

―黒木さんは、介護施設の代表取締役(※2)もされていますので、なおさら、ホースセラピーに期待されることが多いかもしれませんね

黒木さん「ええ、私はもう本当に当事者なので、『この人に馬に触ってもらいたいな、馬の前に行ってもらいたいな』と思うことがよくあります。多くの乗馬クラブがホースセラピーを推進することが、社会の一助になると思っています」

社会にとって、乗馬クラブはどんな場所に?

―欧州から見ると珍しい日本の乗馬クラブですが、乗馬クラブだから出来ることもたくさんあるような気がします

黒木さん「そうですね、日本の乗馬文化が欧州のようになっていく必要はないし、日本には日本の乗馬のイメージや立ち位置があるので、そこを大切にしつつ、乗馬本来の魅力がもっと世の中に伝わるようになれば良いと思います。
そのためにはやはり、もっともっと乗馬クラブという場所に人の流れがあってほしいですね。
『単純に馬を見に来る・会いに来る』、それが出来るだけでも十分乗馬クラブの価値があると思いますので」

あなたもきっと好きになる、乗馬の世界

以上、前後編にわけて黒木さんのインタビューをお伝えしました。
このインタビュー直後も、黒木さんは乗馬の指導にあたり、本当に乗馬・馬・人が好きな姿を全身で届けていらっしゃいました。

黒木さんのおっしゃるように、乗馬クラブにはスポーツとしての乗馬を提供する場所という以前に、「馬と人の関係を繋ぐ場所」という魅力があります。
ぜひ一度、『馬・乗馬クラブ・そこにいる人々』を体感しに来てみてください。

※黒木さんインタビュー前半は》こちら
※黒木さんオフィシャルサイトは》こちら

【注釈】
※1 会員馬:個人で主有する自馬に対し、クラブが団体として所有する馬のこと
※2 介護施設の代表取締役:黒木さんは33歳のときに有料老人ホームを立ち上げ、経営者としても活躍している

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